a fable

2009年1月12日 エッセイ
ちょっと遅かったり、早かったり、だけど。
義崇くん、幸笑ちゃん、名前の知らない子の未来へ捧ぐ。
無事に成長することを願ってます。

って、該当者がここを見ているのかわかんないのですが。
まぁ、いいか。
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しあわせ

それは、さむいさむい冬の夜のことでした。
その子はおかあさんとおうちに帰るところでした。
おかあさんはその子をおんぶしながら、おうちへの道を歩いていました。

ねぇ、おかあさん
なぁに?
今日ね、お月さまとお話したよ?
そう。お月さまとなにをお話したの?
んーとねぇ。あいさつ。こんばんわって言ったら、おやすみって言ってくれたよ。
そう。よかったわね。
おかあさんは、お月さまとお話したこと、ある?
ええ、あるわよ。おかあさんがあなたくらいの頃にね。
…おかあさんにも小さいときがあったの?
ふふっ、もちろんよ。
だって、おかあさんは生まれたときからおかあさんじゃないの?
あなたが生まれてから、おかあさんになったのよ。
ふ~ん。ま、いいや。おかあさんはお月さまとどんなお話したの?
じゃぁ、今日はそのおはなしをしてあげましょうか。
うん。

その日は、今日のようにとてもとてもさむい日。
雪はふっていなかったけれど、
お空にうかんでいたお月さまはとてもとてもほそくなっていたの。
それはまるで、お月さまがさむくてふるえて、
それで細くなっていると思ったの。
だからおかあさん、お月さまに聞いたの。
「お月さま、さむくない?」
「なんでそんな事をきくんだい?」
「だってお月さま、さむくて、それでちぢこまっているんじゃないの?」
するとね。お月さまがにっこり笑ってこう言ったの。
「僕が小さくてもさむくないのはね、しあわせだからだよ。」
おかあさん、そのとき目をぱちくりさせたわ。
だってしあわせって言葉のいみがあんまりよくわからなかったんだもの。
それで、お月さまにこう聞いたの。
「お月さま、今しあわせ?」
そしたらね、お月さまこう答えたの。
「ああ、今しあわせだよ。こんなかわいい女のことお話しをしているんだからね。」
おかあさん、うれしくなったわ。
それはかわいいって言われたことじゃなくてね。
おかあさんがお月さまをしあわせにしているんだって思ったら、
それだけでおかあさんもしあわせになったの。
「おやすみなさい、お月さま」
「おやすみ、優しいおんなのこ。かぜを引かないようにね。」
おかあさん。お月さまにこう言えたわ。
「へいきよ。わたし今しあわせだもの。」

…おしまい。
ふ~ん。
おもしろかった?
うん…ねぇ、おかあさん。
なぁに?
今、さむくない?
だいじょうぶよ、だって今しあわせだもの。
どうして?
そうね…

おかあさんは背中の上にいるその子をせおいなおして、
にっこり笑ってこう言ったのでした。

背中があったかいからよ。

だから、おかあさんの背中の上はとてもしあわせでした。


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気がついたら早いもので、すでに1~2ヶ月経ってたりするんだね。
もすこし早く上げたかったなぁ。

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